ここ数日は聲の形聲の形と何度呟くんだ?とフォロワーの方には思われていたに違いない。
心に響く内容と言う点で君の名はとはまた違う感じで聲の形が頭から離れない。
— 万年 (@mannenDJ) 2016年9月23日
この記事を書いた時点で同時期に上映中の「君の名は」がアニメ映画でもジブリ以外のアニメ邦画で初の興行収入100億円いや150億円を超えるとの事で各所で話題になっています。
「君の名は」も2度観にいって感動し大いに語りたいところもありますが。
今回オススメしたい、是非観てもらいたいのは「君の名は」のヒットの裏で着々と人気を伸ばしている
です。
こえのかたち と読みます、「聲」は「声」の旧字体です。
Twitterなどでは一時期何て読むのか分からず蟹の形だの壁の形だの、ひどいときは蟹の名はといろいろまざったもので呼ばれてしまうなど、難読文字であるが故に変なサジェストになってたりしてたのも面白かったw
あらすじや登場人物の細かな事は先のリンクの公式サイトを見ていただきたいですが、自分なりにざっと内容を紹介します。
主人公 石田将也(いしだしょうや)は退屈を嫌い日々刺激を求めるガキ大将。
橋から川へ飛び込むような危険な度胸試しを毎日繰り返すも、友人らの付き合いも悪くなり退屈していた頃に西宮硝子(にしみやしょうこ)は転校をしてきた。
「筆談用」と書かれたノートを取り出し彼女は自己紹介を始める。
”耳が聞こえません”
西宮硝子は聴覚障害者であった。
西宮硝子が来た事により退屈な感情を忘れるような日々が続くも、ある日を境に石田将也は周囲から孤立してしまい、また西宮硝子は転校してしまう。
高校生になっても心を閉ざし孤立していた石田将也は、ある想いを旨に手話を覚え西宮硝子の元を訪ねる。
別々の場所で過ごし5年の時を経ての西宮硝子との再会は石田将也に変化をもたらした。
心を閉ざしていた石田将也は西宮硝子や周囲の人達との関わりを経て、閉ざされた心を徐々に開くようになり自分と周囲を受け入れるようになっていく。
あらすじはこんなところでしょうか。
ここから長い感想や考察になるのと、話の根幹は避けつつも多少ネタバレ的なものがあるのをご理解いただきたい、、、
完全に内容を隠した状態では伝えきれないところが多いのです、、、
正直なハナシ自分は作中、人目をはばからず2度ほど涙してしまいました。
そして映画を観終えて初めに覚えた感情が
言葉にできない強い感情とモヤモヤが残る
でした。
原作を観ないでこの映画を観た人達は皆こんな感じの感想をもっているように見受けられます。
強い感情ってのは感動とか悲しみとか、そういう言葉では表せない本当によく分からない感情です。
モヤモヤについても、これは内容が半端だったり分からない点ばかりだとか、心残りな内容があるからモヤモヤしているのではなく。
この映画で受けた衝撃や感情を言語化できないからなんだと思うんですよね。
この作品の素晴らしさや作者や監督らのメッセージを理解するには、
精巧なストーリーや人物像などの緻密な「聲の形」の世界を紐解いて行く必要があります。
ですが、どこからどう話せばいいのやらと思うくらいの情報量で、
整理がつかない状況で文章を打ち込んでいます、、、
自分なりにポイントをかいつまみながら魅力や考察点を書き連ねたいと思います。
「いじめ」と「聴覚障害」
まず事前情報として多くの方がこの2つのキーワードがこの映画及び原作の主題であるかのように受け取る方が多いようです。
しかしながら、これらの点のみを主眼に置いて聲の形を見てしまうのは非常に勿体ない。
あくまで「いじめ」や「聴覚障害」はこの作品のテーマを際立たせる強い要素であって、テーマではありません。
主題ではないと作者の大今先生もファンブックのインタビューで述べています。
どうにも事前情報や先行プロモで特にいじめと聴覚障害のあたりが前面に出てしまったように感じられます。
これらの点にとらわれずに作品全体を観て頂きたい。
恋愛要素
プロモーションビデオを観た時になんかガチガチの恋愛モノっぽく感じて実は敬遠するところでした。
aikoさんの歌やキャプションの煽りが強く恋愛モノ!って感じを出しちゃってます、、、
歌はキャッチーでいいんですけどね。
ですが、実際に観てみると丁度良い具合に恋愛も絡んでいる程度で、
どろどろしたり観てて気恥ずかしいまでの強い恋愛要素は無いかな?と思います。
あんまりド直球の恋愛ものなんていいよ、、、って思ってる自分みたいなタイプの人は安心してください!w
テーマ
この作品でのテーマは自分なりの言い方で言えば
気持ちの伝え方、相手の気持ちへの理解
だと思ってます。
平たく言えばコミュニケーションなんでしょうが、、、
インタビューでも原作者の大今良時先生は
「コミュニケーションそのものを描いた物語」
と述べており、他にも細かな点に言及したところを紹介したいものの、詳細な点はファンブックを是非購入して見て頂きたい。
聲の形を読み解く上で必携とも言えます、、、
厳密には映画ではなく原作に対してのインタビューなどの内容ですが。
映画で持った疑問点の多くにも通ずる点が氷解するので、モヤモヤを覚えた人には原作と併せて是非ともお勧めしたいです。
また原作に収録されていない読みきりの話が2つほど入っており、この2つの話は続いているわけでなく別々の内容が収録されています。
コミュニケーション
聲の形というタイトル通りコミュニケーションについて考えさせられる点が本当に多い物語です。
聴覚障害を持つ西宮は筆談用ノートでのコミュニケーションを求めます。
クラスメイトらも最初は付き合ってくれるものの、様々な場面で手がかかる西宮は時が経つにつれ邪険に扱われるようになってしまいます。
筆談用ノートは早い時点で機能不全に陥ってしまう。
また特殊学級の先生による手話を覚えようという提案も、まともに受け入れられません。
最後には筆談用ノートは主人公 石田によって池に投げ捨てられてしまい、
西宮はノートを拾おうとするも結局拾うのをやめてしまう。色々なものをあきらめてしまう。
小学生間の辛らつないじめを描いていますが、誰かがどの手段でも良いので西宮と向かいあってればなあ、、、
とだけ切に思ってしまう場面ですね。
途中途中で西宮は石田に対して
「わたしとあなた、友達になれるかな?」
と手話で伝えていますが伝わりません。
なかなか伝わらないので手を握ってみたりもしますが、逆効果でした。
言葉を発せない上に、まともに筆談にも取り合ってくれない、、、
手話もだめ、手を握ってもだめ。。。ある日二人は取っ組み合いの喧嘩までしてしまう。
それでも互いの気持ちは全く通じ合えず、そんなまま西宮は転校してしまいます。
ここまで互いに気持ちが通じ合わない状態で時が過ぎたものの。
今度は石田が自分が放り投げたノートを持ち西宮を訪ねます。
石田はそのノートを西宮に返し、習得した手話で
「俺とお前、友達になれるかな?」
と伝えます。
一度はノートとそれにまつわる色々な事をあきらめた西宮。
そのノートを手に持ち、手話を覚えてまで自分に気持ちを伝えにきてくれた石田によってあきらめたものを思い出したように見えるんですよね、、、
長くなりましたが、ここまでで導入!なんですよ!
だけどここまでの内容だけでも凄い感動的で、後に続く話はここまでの導入無しでは始まりませんからね。
是非とも劇場でどんな風に描かれているのか、そしてどんな結果になるのかを観て頂きたい!
コミュニケーションという題にちなんで、西宮硝子の声についても気づいた事があります。
実は2回目の鑑賞で分かったのですが、小学校時代の将也と硝子の取っ組みあいの時に
恐らく硝子は初めての本音を心の底から言葉にして叫んでいるんですよね。
1回目の鑑賞では何を言っているのか分からず、ぽかんとしていましたが言葉の意味を理解すると非常に胸に突き刺さるものでした。
もし将也がこの言葉を聞き取れたなら、何かが違っていたかもしれない、、、と。
この映画の凄いところの一つなのですが、この西宮の発する言葉が聴覚障害を持つ方々の発音しにくいところなんかをうまく演じられてるのではないかな?というところです。
その後も西宮は自分の想いを伝えたい局面や心境の変化があった時には手話ではなく積極的に声で言葉を発しています。
その点を注視するだけでも泣けちゃいます、、、
また西宮が口語も何とか習得しようとしている様子も感じ取れますね。
小学校の時の取っ組み合いの件の時、高校生になってからの石田への「うきぃ!」発言、最後に橋の上で硝子が本音を語る部分。
と、この時系列だけで見てても恐らく口語が段々と聞き取り易くなって練習しているであろう点が聞いて取れるんです、、、
特に最後の部分は恐らく多くの人が聞き取る事ができます、そして涙無しには語れないシーンになっています、、、
是非とも2度3度と映画を観て西宮硝子が何を言っているのかを聞き取ってみてください。
観ている視聴者の人達もまた、西宮硝子の伝えたい気持ちを汲み取ろうとするかどうかで、
彼女の気持ちを受け取れるかが変わるんだと、分からされてしまうような作りです、、、
障害に負い目があり自分の気持ちを抑制している彼女の気持ちはあまり理解されず、
また周囲の人間も多くの人が酷く一方的な健聴者の意見を押し付けたりする画面が散見されます。
ですが、それらの健聴者の主張もまた本音であり、踏み込んだ悪意の無い真摯な本音を聞けた西宮も単なる悪口としてだけ捉えていない部分もあったりします。
一方で言葉を交わし、相手の言葉を聞けるもの同士でも相手への勝手な思い込みなどから、すれ違いが発生する画面があり、それがこの物語の一部となっています。
特に主人公石田将也は単なる健聴者以上に、聞こえる筈の無い他人の罵倒が幻聴として聞こえてきてしまう程に人間不信に陥っています。
このコミュニケーションとディスコミュニケーションを織り交ぜた登場人物間の複雑な人間ドラマが映画「聲の形」の大きな魅力だと思っています。
観た人の恐らくは殆どの方が自分の心の中にある何かに引っかかると思うんです。
その引っかかる部分ってのは多分人によって違います。
でも何故かその本質は皆同じようなところにあって、それが強く心に残るし
何なのか?がうまく言語化できないので良い意味でモヤモヤが残るんじゃないでしょうか。
そのモヤモヤを解消する為に何度も観たり、考えたりすることができる。
だからこそ素晴らしい!
本当に深く深く考えさせられる作品です。
もっともっと色々伝えたい事がテンコ盛りで、他にも登場人物や音楽などの点をまとめて、
その2に書いて後日更新しようと思ってます。
なげーな!と思うでしょうけど、これでも削ったくらいなんですよね。。。w
アイキャッチも初めて触ったペンタブとクリスタでわしゃわしゃ描いてみたものです。
一応最後に、原作もいいぞ!と
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